糖尿病患者の治療にあたっては、まず医師が糖質制限食の摂取を促すことがほとんどです。三大栄養素のうち糖質だけに血糖値を上昇させる働きがあるため糖質の制限を促すことは一般的な治療法ですが、患者にとっては一口に糖質制限食といわれても、いまいち理解しにくい一面もあります。
たとえばスーパーで売られている食品には、糖質ゼロと表記されている商品がある一方で、糖類ゼロと表記されている商品もあります。制限されているのは糖質だから糖類なら多少は摂取してもいいのだろうか、といったふうに、糖尿病患者にとっては迷う部分も多々あります。このような違いがわかりづらいワードについて説明を補足し、患者の迷いを払拭していくことが、看護の大きな役割だといえます。
ちなみに糖質は、単糖類・二糖類・多糖類・糖アルコール・合成甘味料の5つに分類されます。そしてこのうちの単糖類と二糖類のことを、糖類と呼んでいます。つまり糖類ゼロと表記されている商品には、多糖類・糖アルコール・合成甘味料が含まれている可能性があるため、糖尿病患者が摂取することは推奨されません。
また、栄養表示基準においては、食品100グラムあたりの糖質含有量が0.5グラム未満であれば、糖質ゼロと表記してもよいことになっています。つまり糖質ゼロの食品のみを食べていても、ある程度の糖質は摂取していることになるのです。
このような誤解が生じやすい事象についてわかりやすい解説を加えることが、糖尿病患者の看護を担当する看護師に与えられた役割だといえます。